井戸洗浄再生技術某工場所有の井戸 改修工事
工事時期 | 2025年6月 |
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工事場所 | 富山県某工場 |
井戸仕様 | 300㎜×60m |
スクリーンの種類 | 縦スリット型 |
ケーシングの材質 | SGP |
用途 | 工業用井戸 |
適正揚水 | 最大2762L/min 適正2073L/min |
深度(実測) | P引揚後-58.95m 浚渫後-60.38m |
自然水位 | 洗浄前-1.86m 洗浄後-1.86m |
本井戸は、工業用水源井戸であり、長寿命化を目的とした工事を行いました。
◎着工前
◎既設水中ポンプ揚水管引揚げ
ユニック車にて、既設の水中ポンプと揚水管の引揚げを行いました。
水中ポンプの取水部に砂利を吸い込んだ跡がみられ、揚水管の内と外にスケール等が固着していました。
高圧洗浄を行い、固着物やスケールを綺麗に除去しました。
◎井戸内特殊洗浄工
ジェッティング工法:ユニバーサル洗浄工法
特殊洗浄ノズルより超高圧水を水平に四方向噴射、高速旋回させ、ケーシング管、ストレーナの内と外の面部分の硬錆・固着物・目詰まりを洗浄除去します。
洗浄回数を重ねるに連れて、①既設ケーシング管表面に付着していた汚れから、②目詰まりの原因となる砂、③既設ケーシング管奥に固着していた地層砂へと洗浄ノズルに堆積する物質が変化していきました。洗浄効果があったものと判断できます。
また、切断された電極が以前より井戸内に落下しておりましたが、無事回収できました。
◎井戸底浚渫
空気の浮上力を利用し、底部の堆積物を引きあげるエアリフト工法で浚渫を行いました。
リフト管の先端が60.38mに到達し、井戸底を確認しました。
井内の水を循環させ、浚渫を終えました。主な排出物は砂、錆、充填砂利でした。
◎井戸内カメラ調査(洗浄後)
洗浄後、井戸内にカメラを挿入し調査します。
約14m周辺に、腐食孔が確認されました。
ポンプ稼働した際にここから砂利などを引き込んでいたと推測されます。
洗浄によりスケールが剥離され、すべての継手を確認することができました。
取水部は縦スリットが採用されており、若干の腐食進行が見られたが、大きな破損までは至っていませんでした。
洗浄前に埋没していた55m以深にも取水部を確認できました。
◎二重ケーシング設置工
井戸の長寿命化対策として、既設ケーシング管にさや管として二重ケーシング管を設置しました。
ストレーナ部は取水量と今後のメンテナンス性も考慮し、横スリット型を採用しました。
今後充填砂利の流出が発生しても井戸孔内に流入しない構造であり、最適なものです。
後に揚水能力が低下しても、ユニバーサル洗浄工法を用いることで、新設管はもちろん、既設管に裏込めされた充填砂利まで洗浄可能であり、今後のメンテナンスが容易になることが、二重ケーシング設置の大きな特徴です。
◎新設水中ポンプ揚水管据付
二重ケーシングVP250Aを挿入することで、既設ポンプ125Aが挿入不可になるため、水中ポンプは100Aを採用しました。
復帰・停止電極ともケーブル長に余裕があるため、揚水管長(24.9m)に合わせて据付位置を見直しました。
◎簡易揚水試験(洗浄後)
・段階試験
バルブ全開にし、予備揚水を一時間程行い清水した後、最大揚水量をもとに、5段階に分割して水位の降下を測りました。
・連続試験
水位が回復した後、適正揚水量での吐出しを行い、水位の降下を測定しました。
適正揚水量は、揚砂量を考慮し、最大揚水量の75%の2073L/minとしました。
・揚砂量測定
段階試験中に、1000L辺りの揚水中の排砂量を乾燥重量にて計測しました。
10分後、30分後と揚砂量を測定し、基準値内であったため適正揚水量2073L/minでの使用で問題ないと判断しました。